茨ちゃんは勘違い
「茨による茨の為の『良い男番付』の審査をしているところなのよ!このMYスカウターはターゲットの身長・顔・体重をコンマ0.00002秒で瞬時に割り出し、計算→評価→ランク付けをする、とても優れたモノなのよ!」

と、自信ありげに胸を張り、自分の妖怪じみた目を指す茨の発言は、百合絵の理解の範疇を遥かに凌駕するものだった。

…うん、馬鹿だ。

馬鹿だわ、コイツ。

男子全体の九割九部九厘に全く相手にされないどころか、恋愛対象圏外である茨に、彼氏候補か否かを判断されるのは、男子側にとって不本意というより屈辱的な話ではないか?と、百合絵は思った。

二酸化炭素がいっぱい詰まった溜め息を吐く百合絵を見た茨は、

「?どうしたの?ユリユリ顔色悪いよ?」

と、顔を覗き込んでくるのだが、これがまたキモい。

女子でも受け入れ難い面をしている。

「…ん~ん…平気…目眩がしただけ…」

と、本当にクラクラする感覚がしたので、百合絵は茨から半歩引いた。

…近ぇんだよ…テメェの顔が…

鼻息かかるんだよ…。

最早、心の悪態のせいで、御嬢様な雰囲気台無しの百合絵だったが、皆には聞こえていないので、それはそれで怖い気がする。

茨は、「そ~お~?」と言うと、再びカカ○ットの兄貴のように、異性の戦闘力(?)データ収集に興じた。
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