茨ちゃんは勘違い
"トイレありがとね〜♡すっごく綺麗だね晃君ちのトイレ!ね、早く借りてきたDVD見ようよ〜♡"

"あ、うん。ちょ、ちょっと待っててね。手短かに済ませるから"

受話器の向こう側に居るらしき女性にそう告げると、晃は手短かに、本当に手短かにこう言った。

"ごめん!今、学校の友達が来ててさ、また改めて電話するから、今日のところは!ゴメンね!じゃ!"

百合絵が引きとめようと声を掛けるより先に、通話は途切れ、その後切断を伝えるシグナル音だけが虚しく鼓膜の中をこだました。
< 172 / 224 >

この作品をシェア

pagetop