茨ちゃんは勘違い
「ていうかアレよね〜茨ってば将来的には素敵な旦那様が迎えに来てくれる筈だし、専業主婦人生を満喫する予定だから、教養とか最低限あれば詰め込む必要性とか無いと思うのよね〜」
「うん、じゃあなんで貴方は桐海暁とか割とレベル高めの進学校に入学してきたのかと小一時間問い詰めたいところだけど、時間が勿体無いから勉強を進めてもらいましょうか」
「...うぇ〜ん、いーやーだ〜〜〜」

茨が机の上に顔を埋めて泣き言を言う。

教師は茨の肩をガッツリ掴むと、身体を起こして教材を整えてやる。

「ほら!ちゃっちゃとやらないと、補習だけで夏休みが終わりますよ!」

茨は教師の言葉を上の空で聞き流すと、徐に窓の外を覗いた。

「今頃...ユリユリと桜ちゃんは、プールに浸かって楽しんでいるんだろうな...いいなぁ」

茨の呟いた言葉に反応するように木々が揺れ、何処までも広い青空に、一筋の雲がゆっくりと流れて言った。
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