茨ちゃんは勘違い
八時二十分になると、生徒達は大方体育館に集まった。
三桁程男子を吟味していた茨もようやく大人しくなり、多少ざわついてはいるものの、これから始まる恒例行事の緊張感が、辺りを漂い始めていた。
全校生徒が集合してるにしては数が少ないので、恐らく二年、三年は他の場所で待機していて、後程顔合わせの時に現れるのだろうなと、百合絵は思った。
五分経つと、それぞれの組の担任が整列した生徒達の前に立ち、別の教師が卒業生贈呈の校歌が飾られた壁を背に、設置されたマイクスタンドの前に立って、こっちを向いて一礼した。
「これより、平成19年度の入学式を行います。一同、礼」
再び頭を垂れる教師に倣って、全員誰に向かってという訳でもなく、形だけの行儀を良くする。
「はぁ~ん…茨、眠~い…」
うるせぇよ。
永遠に寝てろ。
とは、口走らなかったが、百合絵の中では茨を少なくとも五回殺した。
教師が次のプログラムを読み上げる。
「校長先生の挨拶」
すると、校長らしき人物が、階段を上がり壇上に姿を現した。
三桁程男子を吟味していた茨もようやく大人しくなり、多少ざわついてはいるものの、これから始まる恒例行事の緊張感が、辺りを漂い始めていた。
全校生徒が集合してるにしては数が少ないので、恐らく二年、三年は他の場所で待機していて、後程顔合わせの時に現れるのだろうなと、百合絵は思った。
五分経つと、それぞれの組の担任が整列した生徒達の前に立ち、別の教師が卒業生贈呈の校歌が飾られた壁を背に、設置されたマイクスタンドの前に立って、こっちを向いて一礼した。
「これより、平成19年度の入学式を行います。一同、礼」
再び頭を垂れる教師に倣って、全員誰に向かってという訳でもなく、形だけの行儀を良くする。
「はぁ~ん…茨、眠~い…」
うるせぇよ。
永遠に寝てろ。
とは、口走らなかったが、百合絵の中では茨を少なくとも五回殺した。
教師が次のプログラムを読み上げる。
「校長先生の挨拶」
すると、校長らしき人物が、階段を上がり壇上に姿を現した。