茨ちゃんは勘違い
 大災害に見舞われた後の被災者ぐらい暗く、重い空気が漂う踊り場。
 そこへ全く空気を読まない、いや、読む気が無いあの子が割り込んで来た。
「ニュース! ニュースニュースニュース!! ビックニュースなのよ~~~!!」
 全方位究極顔面崩壊生命体、城山茨は、葬式を三件たて続けに行った遺族並みに暗い二人の目の前に駆け寄ると、嬉々とした表情を浮かべて勝手に喋りだした。
「畑山先輩! ユリユリ!!今日が何の日か知ってるかしら~? なんとクリスマス! 知ってる? クリスマス? 聖夜ってやつよ聖夜。そんな夜に、アチシ”木更津っち”とデートに行く事になりました~!! ひゅ~!! またまた進展しちゃうかも!? 聖夜が性夜なんて事に……きゃ~~~乙女の純潔に危機が迫るわ~~」
 一人で勝手に盛り上がる茨を横目で見ながら、百合絵は新たに三体のストレス解消人形サンドバックの収納場所確保を真剣に考え始めていた。
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