茨ちゃんは勘違い
「え?新入生…かな?…どっかで会った事あるっけ?」
「何で私達の名前を?」

百合絵が少し言いにくそうにしていると、茨がシャシャリ出てきてこう答えた。

「入学式ですよ!入学式!もんの凄く目立ってましたよ、二人とも」

と、鼻血をドバドバ出しながら言う茨に面食らったが、理由を聞いて畑山は恥ずかしそうに身体を揺り動かした。

「あ…あちゃー…アレね、ごめんなさい。入学式の終わり際に変なもの見せちゃって…出来る事なら忘れて欲しいな~…」

無理っス。

と、百合絵は心の中で即答した。

そりゃもう運動部バリの覇気の良さで。

「はっはっは。参った参ったー」

と、全く参ってなさそうな春海を見て、コイツ天然丸出しだなぁと百合絵は思った。

「誰のせいよ」と、畑山は春海にひと睨み利かせ、再び百合絵達に視線を戻すと、こう訊いた。

「えぇと…私達に何か用かな?」
「ハイ!!」

元気よく応える茨の風貌を見て、畑山は瞬時に理解した。

「もしかして…もしかしなくても保健室に連れて行った方がいいよね…?」
「あい♪」

鼻が詰まっているせいか、「ハイ」がちゃんと言えてない茨の無駄に活発少女っぷりを目の当たりにして、百合絵は強くコメカミを抑えた。
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