茨ちゃんは勘違い


……

………

独特の薬臭さと白い内装は、小学校だろうが中学校だろうが高校だろうが代わり映えはしない。

横で鼻に綿棒を突っ込まれた状態でフガフガ言っている茨を視界の外へ追い出し、百合絵はこんな形で保健室に来た事にギネス級の溜め息を洩らした。

「あー…大分中で切っているみたいだね~。アンタ、一体何してこんなんなったんだい?」
「んが、ふんが、ふんがっふ」
「は…?黒酉の奴かい?全くアイツはどうしたもんかねー…」

いや、っていうか何で茨ちゃんの奇声で把握出来てるんですか?

と、百合絵は心のツッコミを入れた。

茨を治療している、白衣を着たオバサンパーマの女性は、志村と先程名乗っていた。

志村は、この桐海暁学園に長年勤める養護教諭(一般的に保健室の先生と呼ばれるのは通称)で、話によると黒酉が若き日この学校に通っていたという事を、訊いてもいないのに百合絵達に語ってくれた。

因みに、春海と畑山もちゃっかりその場に居たりする。

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