茨ちゃんは勘違い
「あの子はね~若い時は、内気で大人しい子だったんだけど…この学校に勤めるようになってからは、人を寄せ付けなくなったというか…私の前では素直で良い子なんだけどねぇ…」

どうでも良いっス。

それより早く帰りたいっス。

百合絵は全く興味が無かったりした。

しかし、春海・畑山・茨の好奇心旺盛な三名は大いに興味が湧いたらしく、志村を質問責めにした。

「へ~、黒酉先生ってこの学校の生徒だったんですかー。ちょっと怖いとこありますけど、何だかんだで母校に愛着があるから来たんですかね?」
「黒酉先生が素直に!?嘘でしょ!?あの冷血鉄仮面が人の言うことハイハイ聞くように見えないわよ!?」
「ふんがっふっふ!!」

やはり、あの暴力で全て片付ける女教師は、この学園でも浮いた存在のようだ。

茨の豚声はともかく、上級生達の反応には、百合絵も少し気になった。

志村は、手をパタパタ自分に扇ぐと、面倒くさそうに言った。

「あ~!!イッペンに訊くんじゃないよ!その内話してやるから…全く…授業はロクに聞かない癖にこういう話は食い付きが良いんだから…」

余計な事を言うんじゃなかったと、ブツブツ悪態をつく志村に、百合絵は先生も大変なんだなーと、少し同情した。
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