茨ちゃんは勘違い
憧れは窓の向こう側
一時間が一年、一日が何十年にも感じた長い長い高校生活初日を終え、百合絵は家に帰ってくるなり「ただいま」も言わず、一目散に自分の部屋へと向かった。
「百合絵~?帰ったの~?」という母親の声が居間から聞こえたが、それにも応じず、黙って部屋に入り鍵をかけた。
(ごめんね、母さん。どうしても…どうしても先に『ヤッておかなくちゃ』気が済まないの…)
心中色んな意味で穏やかでは無い百合絵は、『アケルナ』と紅い文字で書かれた札が貼られたクローゼットを開け、中からズタ袋─いや、サンドバッグのような物を引き摺りだした。
それは、素直にサンドバッグと言って良いのか悪いのか、判断しかねる代物だった。
元々は敷き布団か何かだったのだろうモノを円柱に丸めたのと、元々はクマのヌイグルミだったらしきモノの顔と手足を切断したのを出鱈目に縫い合わせたという…ストレス解消グッズだった。
クマの顔部分に当たる箇所には、弩太い鎖が繋がれており、百合絵は脚立を使ってその物体xを天井に吊るした。
ギシギシと音を立て、ユラユラ揺れる『コレ』は、一目見たならば異形としか言い様が無い。
夜中にこんなものが視界に入ったら間違いなく卒倒するであろう。
「百合絵~?帰ったの~?」という母親の声が居間から聞こえたが、それにも応じず、黙って部屋に入り鍵をかけた。
(ごめんね、母さん。どうしても…どうしても先に『ヤッておかなくちゃ』気が済まないの…)
心中色んな意味で穏やかでは無い百合絵は、『アケルナ』と紅い文字で書かれた札が貼られたクローゼットを開け、中からズタ袋─いや、サンドバッグのような物を引き摺りだした。
それは、素直にサンドバッグと言って良いのか悪いのか、判断しかねる代物だった。
元々は敷き布団か何かだったのだろうモノを円柱に丸めたのと、元々はクマのヌイグルミだったらしきモノの顔と手足を切断したのを出鱈目に縫い合わせたという…ストレス解消グッズだった。
クマの顔部分に当たる箇所には、弩太い鎖が繋がれており、百合絵は脚立を使ってその物体xを天井に吊るした。
ギシギシと音を立て、ユラユラ揺れる『コレ』は、一目見たならば異形としか言い様が無い。
夜中にこんなものが視界に入ったら間違いなく卒倒するであろう。