茨ちゃんは勘違い
少しの間、桜と話していた百合絵だったが、流石にここで時間を潰しているより教室で話した方がHRまでの時間をゆっくり過ごせるだろうという事になり、さっさと上履きに履き替える事にした。

「あ、住吉さん。上履き入れの場所って何処だっけ。私まだ慣れなくって…」
「ああ!ここだよ、ここ。あは☆私も朝、ちょっと迷っちゃったんだ~」

そう言うと、桜は下駄箱を案内した。

1B17を見付けると、百合絵は靴を脱ぎ…。

中身を見て、動きが止まった。

それを見ていた桜が首をかしげ、百合絵に声を掛ける。

「…?白石さん?どうしたの?」
「…ない」
「え?」

何の事、という意味で桜は聞き返した。

「…上履き…」
「ええ!?うそ、場所間違えて無い?」
「…ううん。ここ、私の…」

いきなり上履きの神隠し。

二日目で誰かの悪戯とは考えにくい。

じゃあ誰かが履き間違えたという事になるが…。

百合絵は手前の1B16を開けてみた。

上履きは無い。



まさか…。



次に1B18、つまり茨の下駄箱を開いてみた。

…ある。

「…茨ちゃんが履いてっちゃったみたい…」
「ええぇ~!?」
< 48 / 224 >

この作品をシェア

pagetop