茨ちゃんは勘違い
「あら…あなたが、よしよしよしよしよしちゃん?」
「なんだその呼び方!意味わかんないし、そもそも君、何でボクがラブレターを入れた事知っているんだよ!」

義和が男性器と見間違う程の赤面っぷりを披露しながら食って掛かると、茨はその全てをスルーし舐めるように義和の身体を凝視した。

唇からチラリと覗く舌は癖なのだろうが、目に毒なので早急に止めて頂きたい。

品定めが終わると、茨は小さく溜め息を吐きこう呟いた。

「…なんだ。もう少し良い男かと期待していたのに…残念。本当に残念。茨ガッカリ」

大袈裟に肩を落とす茨に、義和は益々頭に来た。

「なんだよそれ!君に関係無いだろ!それに、君には言われたくない!」
「…ま、いいわ。折角来たんだし。ハイ」

またもや義和の怒りの矛先を軽く受け流すと、勝手に話を進め、義和に手紙を押し付けた。

「簡潔に言うと、無理。他をあたってね」

茨はニコリと公害に値する笑顔を義和に放ち、サッコラ教室を出ていった。



ガラガラ、ピシャリ。



ポッツーン。



あまりにも理不尽で一方的な返却に、義和の動きが固まる。
< 54 / 224 >

この作品をシェア

pagetop