茨ちゃんは勘違い
さて、何故この三人が水泳部なんぞに入部する事になったのか、説明せねばなるまい。
それは、一月前──例の百合絵・茨のコンビが起こした「非常ベルパニック」事件が全ての発端であった。
一悶着あった後の放課後、二人は放課後担任の黒酉に呼び出しされていた。
正確には、誰も居なくなった教室に黒酉・百合絵・茨による、異色の三者面談である。
些細な事が切っ掛けで起きた事なのだが、黒酉はここぞとばかりに権力をフル活用した。
「お前達、何処の部活に入るのかはもう決めているのか?」
先の事件の事を、こっぴどく叱られるのかと思っていた百合絵と茨(百合絵はバレたのかと思っていた)は、突拍子も無い質問に、目が点になったが、呆けていると鉄拳が飛んできそうだったので慌てて答えた。
「いえ…特には…。」
「ま、まっだでーす…。」
「そうかそうかそうか。」
珍しく満面の笑みを浮かべる鉄仮面こと黒酉は、凄まじい握力で二人の肩をガッチリ掴んだ。
「喜べ。今、水泳部の席がバッチリ空いている。」
「はぁ…?」
「ふぇ…?」
黒酉は口元をさらに歪めると、悪魔のようにこう囁いた。
それは、一月前──例の百合絵・茨のコンビが起こした「非常ベルパニック」事件が全ての発端であった。
一悶着あった後の放課後、二人は放課後担任の黒酉に呼び出しされていた。
正確には、誰も居なくなった教室に黒酉・百合絵・茨による、異色の三者面談である。
些細な事が切っ掛けで起きた事なのだが、黒酉はここぞとばかりに権力をフル活用した。
「お前達、何処の部活に入るのかはもう決めているのか?」
先の事件の事を、こっぴどく叱られるのかと思っていた百合絵と茨(百合絵はバレたのかと思っていた)は、突拍子も無い質問に、目が点になったが、呆けていると鉄拳が飛んできそうだったので慌てて答えた。
「いえ…特には…。」
「ま、まっだでーす…。」
「そうかそうかそうか。」
珍しく満面の笑みを浮かべる鉄仮面こと黒酉は、凄まじい握力で二人の肩をガッチリ掴んだ。
「喜べ。今、水泳部の席がバッチリ空いている。」
「はぁ…?」
「ふぇ…?」
黒酉は口元をさらに歪めると、悪魔のようにこう囁いた。