茨ちゃんは勘違い
そんな訳で。

白石百合絵と城山茨の二人は、入学して二日目、部活動見学や仮入部という項目をすっ飛ばして、黒酉率いる水泳部に入部した。

というより、入部届けを強制的に提出させられた。

まるでヤミ金関係のコワモテに脅されて、契約書に拇印を押すという事を余儀無くされた借金まみれの債務者のように。

二人は先の説明で御理解頂けたと思われるが、ここで忘れてはいけないのが、住吉桜の存在だ。

ならば、彼女はどういう経緯で水泳部に所属しているのか。

桜の場合、二人と違って別の理由で入部を申し入れていた。

黒酉の脅迫が裏で行われていたのかと思うかもしれないが、自分の意思でだ。

容赦無く冷徹無比に生徒を扱う黒酉が居る部活に進んで希望するなんて、物好きかドMかのどっちかと思われても仕方ないが、それも違う。

彼女には、ある目的があって、水泳部に入部したのだ。

それはまた、追々お話しよう。

さて、焦点を百合絵と茨に戻すと、二人は水泳部員として活動している事になる。

しかし、他の部員が気持ち良さそうに(?)泳ぐ中、何故二人は陸に上がってガチガチ震えているのか。

それには訳があった。
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