君にとってのハッピーエンド、僕にとってのバッドエンド

服やらパソコンやら、たくさん荷物の入ったキャリーケースを引き、空港を出る。およそ三年ぶりの日本の地に頬が緩んだ。

「やっと帰って来れた……！」

僕の名前は坂倉優二（さかくらゆうじ）。短大を卒業した後に会社員として就職し、今日までイギリスに行っていた。

キャリーケースを引きながら、これからどうしようか考える。もうお昼時でお腹が空いているため、どこかでランチにしようか。

「そうだ、あの子を誘おう。お土産も渡したいし」

僕の頭の中にイギリスに行く前、空港で見送ってくれた大好きな人の顔が浮かぶ。手を振り、瞳を潤ませながら「頑張ってね」と言ってくれた。

スマホを取り出し、LINEを開ける。そして「栗花落若菜（つゆりわかな）」とのトーク画面を開けた。

時差の都合だったり、互いに忙しかったりで、連絡を取ることはなかなかできなかった。ドキドキしながら日本に帰ってきたことを送ると、すぐに既読がつく。