君にとってのハッピーエンド、僕にとってのバッドエンド

僕がリビングに戻ると、結束バンドで拘束された若菜がソファの上に倒れてお腹を押さえている。その顔は苦しげに歪んでいた。突然のことに僕は驚き、「若菜！！」とそばに駆け寄る。

「お前、若菜に何したんだ！！」

紫水圭がその目に怒りを宿し、僕の胸ぐらを掴む。その迫力に恐怖を感じつつ、僕は首を横に振った。

「知らない！僕は若菜を拘束してここに連れてきただけ。何もしていない」

そう言うと、紫水圭は舌打ちをして僕を乱暴に離した。そして、若菜をまるで割れ物を扱うかのように抱き上げる。

「とにかく、若菜を病院へ連れて行く！もしも若菜に何かあったら……お前の命はないと思え」

紫水圭はそう言い、マンションの外へと出て行く。しばらく呆然としていた僕は、若菜の様子が気になってしまいかばんを手に家を出た。



病院についてすぐ、若菜は優先されて診てもらったみたいだ。診察室に僕は入れてもらえず、紫水圭だけが入って行った。

「若菜……」