ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜3
 宰相はさらに続けて言った。

「まさに、カレーを食べて『おつカレーさま』というわけですな」

 その言葉を耳にした者(セガルス国王を含む)は、皆一斉に宰相の顔を見た。

「いかがなされましたか? 食事の前に、場を和ませてみたのですが」

 国王は少々ひきつった顔で笑った。

「いや、はは、わははは、そうか、おつカレーか! 大変和んだと思うぞ、よい心がけだな。さすがは我が国が誇る宰相だけある!」

「ありがとうございます」

 ずっと真顔の宰相は、カレーのスプーンを品よく持って満足そうに頷いた。

「……今の、聞きましたか? あの宰相がダジャレを口にしましたよ」

「うむ、あまり表情が変わっていないが、あれは明らかに『ちょっと上手いことを言ったな』と思っておる」

「ドヤ顔というものですね」

 フランセスとギルバート前国王が、ひそひそ話をした。

「いろんな意味で、エリナの料理はすごいですね」

「そうだな、味が良いだけではないな」

 どうやらカレーライスには、厳格な人物を童心に返してしまうほどの力があるようだ。

「皆さん、全員席につきましたね。それでは森のカレーライスをいただきましょう」

「はい。ありがたき糧を!」

「ありがたき糧を! 美味しそうだなあ」

 エリナの言葉で皆スプーンを構えて、口々に食前の挨拶をすると、煮込まれたブイヨンの芳醇な香りを放ちながら光る、濃い茶色のカレーライスをすくって口に入れた。
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