ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜3
「にゃああああん、クーちゃん、そろそろ帰る時間だよね! ルディさん、これで失礼します! お仕事の邪魔をしてすみませんでした!」

「お、そ、そうか、いや、全然、邪魔では、ないし」

 慌てたフェアは子犬を小脇に抱えると、しどろもどろになる狼隊長の前で素早く屋根に飛び上がり、そのまま全速力で走り去った。
 そのあまりの速さに、ルディの目には、金の光をたなびかせたふたりが流れ星のように見えたほどだ。

「……あ……その、気をつける……んだぞ……って、聞こえないか……」

 まさに光の速さで逃走する白猫の後ろ姿を、唖然として見送る。

「……綺麗な髪だったな。流星の尾のようだ……」

 しばらく無言で上空を見上げていた狼隊長だったが。

「俺はまた、なにを妙なことを言っているんだ!」と我にかえった。

 そして彼は、自分の発言を振り返ると「なんということだ……俺は、若い女性に向かってあのような軽々しいことを……」と呟き「しかも、プ、プロポーズに聞こえてしまうようなことまで言ってしまうとは! ああ、フェア、すまん! 今夜の俺はちょっと変だった! うおおおお、なんだか遠吠えをしたいくらいにムズムズするーっ!」と、その場にしゃがみ込んで頭を抱えたのであった。
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