女の子、拾いました。


「本当に大丈夫?携帯とか持ってる?
電話とか必要なら貸すけど」


 心配になって念押ししたけれど、彼女は頑なにふるふると首を横に振った。

 なんか訳でもあるのかな……。


 どうしていいのか分からず困り果てていると、突然、稲妻が走って白い光が部屋を覆った。すぐにゴロゴロと大きな音がした。雷がすぐ近くまで来ている証拠だ。

「きゃあ!」と、思わず声を挙げてしがみついてくる彼女を目の前に、僕の心拍数が上がった。

「大丈夫だよ」なんて、余裕そうに言ってみたけれど、部屋の中にいても分かるくらいの白い稲妻に、自分も内心かなりビビっていた。


「雨、やみそうにないね」


 今日は朝から一日中、ずっとこんな調子だ。

 こんな雨の中、彼女を一人で帰す訳にもいかなさそうだと思った。


「しばらくは、ここでゆっくりしていったら?」


 雨が止むまでの間。
 もちろん、そんな意味合いで彼女にそう言った。


「いいんですか?」


 ぱぁっ!と、彼女の表情が明るくなった気がした。


「雨が止むまでの間、ね」


 そう付け加えると、そうですよね……。と再び、シュンとした表情に戻ってしまった。


「とりあえず、今日はもう遅いから寝よう」


 そう彼女に提案した。


「僕のベッド使っていいから」

「でも……」

 それだと申し訳ないという表情をする彼女。

「いいから」

 潤んだ瞳。
 僕は理性を保つのに必死だった。

 見ず知らずの女の子を連れ込んで、変質者になる訳にはいかない。

「僕もシャワー浴びてくるから」


 明日からのことは、また明日考えよう。

 とりあえず気持ちを落ち着かせようと、浴室へと向かった。



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