冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
また会社へ戻り駐車場に向かった。

響さんは自分の車で来ており帰りは別々。
私と響さんは車に乗り込んだ。

「美味しかったですね。あんまりお腹空いてなかったのに食べれちゃいました。」

「玲奈はラーメンとか食べるんだな。」

「食べますよ。庶民の味方ですもん。それに嫌いな人はいないんじゃないですか?」

「女の子って嫌がらない?」

「デートなら嫌でしょうね。」

「そっか…。」

「響さんがあそこのお店にいると高級店にさえ見えてきましたよ。オーラが違うんでしょうね…。」

「まさか。そんなことないよ。」

「そんなことあるんですよ。自分ではわからないでしょうけど。」

私と響さんは違う。
何が違うか?

全て違う…。
生まれてから全て。

妬んでいるわけでも羨ましいわけでもない。

ただ、違うと思うだけ。

ただ、そこには私との距離を感じるだけ。

本来なら隣にいられるような人間ではない。

私はどこにでもいる平凡な人間で、響さんは選ばれた人間だ。

見た目も、家柄も、性格も、何をとっても彼にないものはないだろう。

だから私は時々自己嫌悪に陥りそうになる。
つい、「契約なので」と言わずにはいられなくなる。

響さんの隣にいられるのは契約だからなのだと自分を戒める意味もある。

そうじゃないと…響さんにとって私は特別なんじゃないかと勘違いしそうになるから。
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