冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
朝から起きて来られずまだ寝ている響さん。

私は自室にこもり静かに翻訳の仕事をしていた。

ゴソゴソと動く音が聞こえたので起きてきたのだろう。
ご飯を作るため部屋を出ると、
「玲奈、いたのか?いないのかと思ったよ…。」

「ごめんなさい。起こしたくなかったから部屋で静かにしてました。お腹空きましたか?」

「あぁ。久しぶりによく寝たからかお腹空いたよ。」

「なら鍋焼きうどんにしましょうか。」

「いいね!ますますお腹空いてきた。」

「顔洗ってきてください。すぐ出来ますから。」

「ありがとう。」

私は鍋を火にかけ、準備を始めた。
ほうれん草は茹でたものがあるし、キノコやネギを切るだけだからあっという間に準備はできてしまう。

顔を洗い、着替えを済ませた響さんがリビングへ戻ってくる頃には卵を落とすだけの状態になっていた。

「いい匂いだなぁ。」

「よかった!今テーブルに持っていきますね。」

「俺が運ぶよ。」

「ありがとうございます。」

2人で熱々の鍋焼きうどんを食べお腹が満たされた。

「玲奈の鍋焼きうどんは餅が入るんだな。」

「え?普通ですよね?」

「入ってるのは力うどんだけじゃないのか?」

「うちは普通に入ってましたよ。」

「そうか。」

「不思議ですね。全く違う育ち方をしてる2人がこうやって食事を共にするなんて。しかもうどんひとつとっても味も中身も違うんですもんね。結婚って不思議なものですね。」

「そうだな。他人の2人が一緒の生活をするってすごいことだよな。」

「私たちは特に…ですけどね。」

ハハハ…と響さんは笑う。
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