冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
彼のマンションに連れてこられ、内容の確認をした。

私があらかた理解すると弁護士が呼ばれ、きちんと書面での契約を交わす。

弁護士は彼の友人の神山さん。
彼なら全て理解し、秘密も守ってくれるということで私たちの契約婚についての書面を作成してくれた。

神山さんは弓川さんがキッチンでお茶を淹れるため立ち上がったタイミングでこっそりと、
「まだ間に合いますよ。いいんですか?」
と聞かれた。

私は、
「彼はそんなにヤバいんでしょうか…」
とこそっと聞く。

「至って普通。友人としてみたらいい奴です。でもあなたの戸籍が傷ついてしまうことが心配なんです。女性にとって結婚は大切なものでしょうし…ま、これは男性にも言えますけどね。」

「彼がヤバくないなら…しかたないです。私、覚悟決めました。」

「では…。」

彼はニコッと微笑み、弓川さんに声をかけた。
 
「響!書類できたぞ。お互い確認してサインをしてくれ。」

「ありがとう。」

「じゃ、君もよく読んで。わからなければ何度でも聞いて。また、何か気になること、心配なことがあれば今聞いて。書面に追加するから。焦らなくていい。ゆっくり読んでみて。」

それぞれに書類を渡され、私は繰り返し何度もよく読んだ。

お互いの利益、不利益について…。

< 11 / 205 >

この作品をシェア

pagetop