冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
「玲奈。お茶にしよう。」

「いいですね!響さん、お願いがあるんです。」

「珍しいな。何?」

「ここの上にある抹茶カフェに行きたいんです。」

「そんなこと?」

「行ったことがなくて…でもわらび餅と抹茶が美味しいって聞いて。行きたくて…。無理ならいいんです。」

「そんなことくらいならいつでも連れていってあげるのに。」

「行ってもいいんですか?」

「もちろん。どこにあるの?」

「7階です…。」

手を引かれエレベーターへ向かう。
お茶の時間には少し遅いし、大晦日ということもあり空いていた。
すぐに先に案内され、私はお目当てのものを注文した。
響さんも私につられ同じものを注文していた。

「おいしーい!このわらび餅、なんなんでしょう。美味しすぎますね!」

「うん、美味いな。初めての玲奈のおねだりがこれかぁ。」

「ごめんなさい、わがまま言って。」

「いや、俺は嬉しいなと思ってさ。こうやって自分の思ったことを口にしてくれるようになったことをさ。」

「ありがとうございます。」

「もっと思ってること言っていいんだよ。」

「響さんもですよ。米山さんにいたみたいに、とは無理かもしれないけど話して気が楽になることがあったら言って欲しいです。」

「ありがとう。」
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