冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
「玲奈。君は家事も手を抜いてないし、食事もきちんと用意してくれていた。それに俺が誘うパーティとかもきちんと妻としてこなしてくれていた。それだけで俺には十分ありがたいことなんだ。だから気にしなくていいよ。」

「そうはいきません。仕事を辞めることが契約だったのについ時間を持て余し、翻訳の仕事を多少なりともしてしまったのは違反です。申し訳ありませんでした。」

また布団に額をつけ頭を下げた。

「玲奈、そんなことするな。」

「いいえ。私は本来響さんに顔向けできないことをしました。私の考えの甘さです。きちんと考えるべきでした。」

「分かったから。もういい。」

「もういい…?」

「あぁ。」

「離婚ということでしょうか…。残り4カ月続けさせてもらえないということ…でしょうか…。」

「そうじゃない!!!」

「でも、もういい…と。」

「謝らなくていいってことだ。」

「え?」

「玲奈にはこのまま妻でいて欲しい。お金も返済しなくていい。仕事は今楽しいなら続けていい。但し、今日みたいに倒れるまでやるのはなしだ。」

「え?!」

「もしかして、お金に困って仕事してるのか?」

「まさか!」

「困ってるなら言ってくれ。」

「困ってません。食費を頂いてるので十分です。」

「小遣いは?!」

「5万は多くて使い切れませんので返しています。」

「多いわけないだろう。自分の貯金使ってるんじゃないのか?!」

「まさか。月1万もあれば足りますから。」

「まさか!」

「?? 1万で十分ですよ。ご飯も食べられるし、パーティとかの服は買っていただいたものがあるし。コンタクトや化粧水とかくらいなので毎月はかからないし私は他は何もいらないですから。」

「……1万で足りるなんて。」

「むしろ5万と言われた時の方が驚きました。響さんとの格差を感じました…。」

「そうか…。」
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