冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
日常に戻り、翻訳も認められて私は毎日充実していた。
3月に入り暖かい日が続いている。

「玲奈、旅行に行かない?オーストラリアとかどう?」

「それは仕事ですか?なにかあるのですか?」

「いや、プライベート。」

「なら行けません。行く理由がありませんから。」

「理由かぁ…。海外視察だよ。俺この1年もだけどその前からがむしゃらに働いてきたからここらで休息しようかと思ってさ。仕事もひと段落したし。俺、色々海外回ってたけど辺鄙なところとかが多くて大堂のところはあまり行ってないんだよね。ハワイとかでもいいんだけどどう?」

「働きすぎだということはわかってます。休息が必要なことも…ですが私が一緒に行く理由はありません。」

「新婚旅行って事なら長く休みやすいしさ。」

「なるほど…。」

「玲奈へのご褒美にどう?いつも頑張ってるし。」

「普通のことしかしてないのにご褒美だなんて響さんは甘過ぎます。」

「一緒に行ってくれる?」

「いいんですか?」

「もちろん。」

「玲奈の行きたいところにしよう。新婚旅行だから。」

「偽ですけどね。」

「偽じゃないさ。どこに行きたい?」

「えー?!どうしよう。」

「玲奈なら新婚旅行はどこだと思う?」

「新婚旅行はドイツ周遊かスペインのサクラダファミリア、アメリカのディズニーワールド、カナダのイエローナイフ、モルディブとかですかね。どこって想像がつかないから今行きたいところ、って感じですけど。」

「なるほど。各方面だな…。」

「スペインにしようか。どう?」

「オーストラリアじゃなくていいんですか?」

「近くていいかな、と思っただけなんだ。新婚旅行なら1週間はあるから足を伸ばそう。そうと決まればチケットを手配しよう。」

響さんはどこかに電話をかけに行ってしまった。
本当に行ってもいいのかな?
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