冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
洞窟に響き渡るギターの音色。
独特なリズムをきざむ手拍子。
カスタネットの音。
そこにダンサーのタップの音が響き渡る。

軽快なステップを踏み始めたかと思っていたら途中から高速になり私は見入ってしまった。

なんて情熱的な踊りなんだろう。

こんなすごい経験ができるなんて思わなかった。

ラストダンスが終わってホテルに戻る途中も私は興奮が覚めることなくずっと響さんに今日の感動を伝えることに夢中だった。

響さんも本場のフラメンコに興奮したのかいつもより口数が多い。

部屋へ戻ってもまだ話し足りず、なんとなくお互いにリビングのソファに座り込む。
カヴァを冷蔵庫から出し、グラスに注ぐ。
『サルー』と2人でグラスを傾ける。
今日は何回サルー(乾杯)と言っただろう。

なんだかお酒も程よくまわり気持ちよくなってきた。

私は瞼が重たくなり、開いていられなくなってしまった。

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