冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
車は地下に置いてあり、私でも知ってるあのマーク…白の高級ドイツ車でした。

うわぁ…初めて乗るわ。

汚さないように…
あぁ、靴も脱ぎたい…

庶民な私はこれからこの人と1年夫婦らしく過ごせるのかしら。

どう見ても生活格差が大きそうなんだけど夫婦に見えるようになるのかしら…。

「さぁ、行こうか。」

「はい。」

響さんの車は駐車場からスムーズに出て国道を走る。  

なんて穏やかな運転なんだろう。

初めて会った時は怒鳴られ、本当に怖かった。

轢かれそうになったのも怖かったけど響さんに怒られたのも怖かった。

でも今はこんなに穏やかな口調で話す。

私に不利益のない条件を出してくれる。

こんなにいい人そうなのにどうして結婚相手がいないのかしら。  

いや、6月18日に決まってるってことは…逃げられた??

深入りしてはいけないことなのかもしれない。

私は口をつぐんだまま、あっという間に自宅まで送ってもらった。

「ありがとうございました。」

「いや、大したことじゃない。それじゃ、また6月に。」

「…はい。」

次は6月?!
式まで会わないってことなのね。

やっと理解が追いついてきた。
 
たしかに…契約だからお付き合いする必要はない。

「また6月に…」


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