冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
「今日はどこに行くんですか?」

私はどうにか仕度を終え、2人で街中へ繰り出した。

「今日は有名な宮殿を見に行こうと思うんだけどいい?」

「もちろんです!ガイドブックに載っててみたいと思ってたんです。嬉しいなぁ。」

私は意識してか、いつもよりテンションが高く口数が多くなってしまう。
それを突っ込むこともなく響さんは受け入れてくれる。
さっき話した事にもふれてこない。
良かった…。
もうこの話はしたくない。


でも…変わらず響さんは私と手を繋ぎ街を歩く。
スペインに来てからずっと変わらない。
私は初めこそ緊張したが今は自分からつい繋ぎにいってしまうくらい自然になっていた。

日本にいない今くらいは日常を忘れて響さんに触れていたい…私の素直な気持ちだった。

今朝響さんを拒絶したのに今は手を繋いでいるなんて、私はなんて軽い女なのだろう。響さんはあきれてるのではないか。こんな私を響さんはどう思っているのだろう。

やっぱりスペインについてこなければよかった。
こんなに気持ちが揺さぶられるなんて辛い。
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