冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
「玲奈、何か飲む?」

「はい。」

「少し飲む?」
 
「はい。あと少ししかここにいられないし、せっかくなので飲みたいです。」

響さんは私にバスローブを着せリビングのソファに座らせた。
自分もバスローブを着てミニキッチンの方へ向かって行った。

響さんはバスローブ着ていても様になるなぁ。
顔がいいからか、はたまた生まれの違いなのか…。
私は響さんをつい目で追ってしまう。

「玲奈、はいどうぞ。」

私にグラスを持たせてくれ、響さんは隣に寄り添うように座った。

「「サルー」」

グラスを合わせ飲むと爽やかな香りが鼻を抜ける。

「美味しい。」

「良かった。」

私の腰を抱きぴったりと寄り添う響さん。

つまみにチーズやハムの盛り合わせを持ってきてくれた。
それを私の口に入れてくれる。

こんなに甘い人なの?
知らなかった…。
もちろん優しい人だとは思っていた。
けど…こんなに甘くて、私の心をくすぐる人だなんて知らなかった。

ううん。
知れて嬉しい。

私も自然と響さんに触れていたくて足に手を置いていた。

ついさっきまでは私たちの関係が変わるなんて思いもしなかった。
朝言われたこともなんとか「勘違いでは?」と切り返せたのに。
まさか私たちのの間にあったはずの壁がこんなに早く崩れ落ち、触れ合うことになるとは天と地ほども思わなかった。

こんな幸せなことがあるんだって知らなかった。

私のことを求めてくれる人がいるなんて思いもしなかった。

幸せすぎて胸がいっぱい。
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