冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
「玲奈。俺は…玲奈を都合よく縛りつけようとした汚い男なんだ。俺の都合しか考えてなかったんだ。」

「そんなことないです。私だって本当に救われたんですから。それに…私は響さんと暮らしてみて、響さんのことを間近で見て、響さんという人柄を好きになったんです。響さんとこうして一緒に暮らしていなければ分からなかったんです。だからこの出会いに感謝しています。」

「玲奈…。」


私の肩で鼻を啜る音が聞こえてきた。
もしかして…

「響さんは優しいからいろんなものを背負いすぎてるんですね。私といる時は力を抜いてくれると嬉しいです。」

「うん…。」

「私が響さんの帰る家になりたいです。」

「うん…。」

「響さん、大好きです。」

「玲奈…ありがとう。大切にするから。絶対に大事にするから。」

「はい。私も…私も響さんを大切にしたいです。家族になりたいです。」

響さんは私の顔をやっと見てくれた。
響さんの目は少し赤くなっていた。

「響さん。私を救ってくれてありがとうございます。私を好きになってくれてありがとうございます。」

「玲奈。」
少しはにかむような笑顔に私はキュンとなった。

響さんの顔が近づいてきた。
私は自然と目を閉じた。

そっと唇がふれあった。

目を開けると今度は満面の笑みを浮かべた響さんがいた。

「やっと玲奈が俺に落ちてくれた…。あぁ…もうこのまま1年が終わってしまうんじゃないかと思ってたよ。どうしたらいいのかわからなくて。俺を焚き付けてくれた今日のフラメンコダンサーに感謝するよ。」

そうだった…
あの人が投げキスしてくれなかったらこんな話できなかったかもしれない。
私も言えないまま1年が終わったら出て行くことになってたと思う。
あの彼に感謝しなきゃ。
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