冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
「まずは、結婚についての話をさせていただきます。」

「はい」

「副社長との結婚は契約と、また契約に至る経緯も伺っております。」

「はい」

「全く…あなたもあなたです。よろしいんですか?こんな簡単に決めて。」

「え??」

「結婚ですよ。ゲームなどではなく籍も入れるんですよ。ま、あんまりいうと響に怒られるから言わないけど…。」

「はぁ…。えっと、米山さんは反対ということでしょうか。」

「賛成も反対もないです。ただ、もし自分の妹だったら、と思うと…」

「ハハハ、普通はそうですよね…私も弟がこんなことしたら、しそうになったら全力で止めます。」

「ならどうして?元彼を探して支払わせる方が優先なのでは?」

「そっかぁ…そういう手もあったんですね。でももう考えられなくなっちゃって。誰のことも信用できなくて。」

「なら響のことも信用してないんですか?」

「うーん…なんていうんでしょうね。ビビッときたんですよね。この人なら大丈夫っていう感じ??」

「全然わかりません。」

「響さんは弁護士さんまで呼んできちんと書面を起こしてくれた。それだけでも私には安心感に繋がりました。死ぬつもりはなかったけど、死にそうになったところを助けてもらったから雛鳥の条件反射のように、彼を親鳥のように信頼してしまったのかもしれないですね。」

「はぁ…」

「ま、そんな感じですかね。もう深く考えたくなくなっちゃったんです。何もかも…。」

「響はいい奴です。俺から見てあんなに慈悲深い奴はいない。いい奴すぎて損な役回りばかりだ。今回のことも…響はしなくてもいい苦労を背負ったんだ。」

「どういうことですか?」

いつの間にやら砕けた話し言葉になっている米山さんを気にすることさえ忘れ、話にのめり込んでしまった。
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