冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~

助けてください

「玲奈!玲奈!」
声をかけるが意識がない。
グッタリしている。


「お父さん!開けてください!救急車呼んでください!玲奈が、玲奈が…!」

俺が叫ぶと異常を感じたのかお父さんが玄関から飛び出してきた。

お母さんも声を聞きつけ2階から降りてきたようで足音が聞こえる。

「お願いします!早く!早く呼んでください。助けてください!」

お父さんはすぐに家へ戻り電話をしてくれたようだ。

お母さんは青ざめており、「へ、部屋へ。早く寝かせて!」と声を震わせている。

「玲奈、玲奈、どうしたの?玲奈。」
お母さんは玲奈に話しかけるが反応はない。

玲奈の顔色は真っ青になっており手が冷たい。

俺は持っていたバッグを足の下に入れ頭を低くさせた。

着ていたブラウスの首元を緩め、背中に手を入れブラのホックも緩めた。

無我夢中だった。

「玲奈、大丈夫だぞ。助けてやるからな。救急車がもうすぐ来るからな。」

俺は話しかけながらふと気がついた。
スカートに血がついていたことを。

倒れた時には咄嗟に俺が受け止めたはずだ。
怪我はしていないはず。
なのに何故?

この血はどこから出てるんだ?

意識のない玲奈をこれ以上動かすわけにもいかず救急車の到着を待つ。

しばらくするとサイレンが聞こえてきた。
お父さんが家を飛び出し救急隊を誘導してくれる。

救急隊が到着すると血圧が低くなっていた。
足を上げていたにもかかわらず60しかなかった。
すぐにストレッチャーに乗せられ救急車の中へ連れていかれる。中で酸素をつけられているが顔色は変わらない。

「どなたが同乗されますか?」

「俺が乗ります。」

「わかりました。」

「病院はどこになりますか?」

「東部総合病院になります。」

お父さんが
「わかった!私たちはすぐに車で追いかける。」

「はい!」

救急車の扉が閉まり再びサイレンを鳴らし始めた。
救急車は動きだし、中では玲奈のことを色々聞かれた。
婚姻届に書いてあった誕生日はかろうじて答えられたが既往歴やアレルギーなど一切答えられなかった。

玲奈のこと知った気でいたけど何も知らなかった。
< 173 / 205 >

この作品をシェア

pagetop