冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~

響side

俺は病室を出た後、玲奈の実家に向かった。

こんな時間に行くのが失礼なことは十分に承知している。

でも玲奈の様子を伝えずにはいられなかった。
それに玲奈との関係を拗らせたままではダメだと思った。
ご両親は玲奈のことを勘当すると言いながらも部屋から飛び出してきたくらいだ、本心だとは思えない。
病院にも駆けつけてきたんだから意地になっているのだろう。
でも俺のせいでこの現状になっているのだからご両親には頭を下げて詫びることしかできない。

ピンポン…

インターホンを鳴らすとお父さんが玄関を開けてくれた。

「入りなさい。」

家の中へ招き入れられた。

「失礼します。」

俺はリビングへ通された。

ご両親と向かい合わせで座ると俺は正座し頭を下げた。

「玲奈さんとの結婚のこと。ご報告が遅れてしまい大変申し訳ありませんでした。本来であればご両親に許可をいただき結婚をお許しいただかなければならないのが筋。それを私の事情で玲奈さんと勝手に入籍してしまいました。大変申し訳ありませんでした。」

「どうしてこんなことになってるんです。私たちのショック、あなたには分かりますか?気がついたら娘が私たちの戸籍から抜けていたんですよ。」

「申し訳ありません。人として道理がなっていませんでした。私が全て悪いんです。どうか玲奈さんをお許しください。私だけが悪いんです。」

「だからどういうことかと聞いてるんだ!」

「申し訳ありません。私の事情で急いで入籍させてもらいました。後継者の兄が亡くなり会社が揺らぎました。兄の代わりに私が後継者指名を受けましたが周りに結婚を勧められ強制的にさせられそうになりました。私はそれを了承できず彼女に相談し、すぐに入籍させてもらいました。今を逃すと彼女と結婚できなくなると判断しました。ただ、事を急ぎ過ぎてしまいご両親への挨拶をすることなく結婚してしまったこと、大変申し訳なく思っております。」

俺は改めて頭を下げた。そのまま頭を上げられずにいるとお父さんの足が俺に近づいていることに気がついた。

俺は首を締め上げられ頬を殴られた。

「私たちがどれだけ大切に育ててきたかわかってるのか!自分の都合でこんな大切なことを決めて!どれだけ俺らを蔑ろにするんだ。こんな残念で腹立たしいことはない。」

「申し訳ありませんでした。」

「本当なら許せない行為だ…。でも…さっきの玲奈の姿を見ていたら…そんなことどうでもいい、生きてさえいればと。もしこのまま…と思ったら玲奈を許さない自分たちが許さないと思った。だからきちんと君の話を聞かないといけないと思った。」

「はい。」

「もう頭を上げなさい。私も君を殴ったからこれで終わりにしよう。ここからは腹を割って話そう。」

「ありがとうございます。」
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