冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
「君は玲奈のことを大事にしてくれるのか?君の名刺は見た。とても大きな会社じゃないか。後継者指名を受けたってことは将来的に社長だろう。もうしてしまったものは仕方ないがもしまだ結婚してないなら反対していた。玲奈には社長夫人は務まらないから。苦労が目に見えるようなのに娘を差し出すわけにはいかない。
ただ、結婚してしまったのなら話は別だ。大切にしてくれるのか?守ってくれるのか?」

「はい。もちろんです。玲奈さんを大切にします。社長夫人として出ていかなければならないところもあるでしょう。そういう時には全身全霊で守ります。」

「どうか、どうか、よろしくお願いします。」

ご両親にこう言ってもらえて俺は心から安心した。

「それで、玲奈さんなのですが…お話を聞かれたかと思いますが妊娠しています。本人も気が付かなかったようで体調不良だと思っていたようです。切迫流産の状態でこのまま1ヶ月は入院になるだろうと言われました。玲奈さんには伝えてませんが完全流産に移行する可能性も半々だと言われました。悪阻もかなり酷く、治療が必要なほどです。」

「そんな…。」

「私が先程帰る時には点滴の効果なのか顔色が良くなっており食事も少し取れていました。ただ、このまま入院は避けられません。東京に移動もできないと言われました。なので釧路に残して行かざるを得ません。お父さん、お母さん、助けていただけませんでしょうか。助けていただくばかりで申し訳ないのですが私にも玲奈さんにもご両親の助けが必要なんです。」

「…」

「私も仕事があります。スケジュールを調整しておりますがずっとこちらにいるのは不可能です。なのでお助けいただけないでしょうか。」

「私たちのことで玲奈は負担になっていたのだろう。顔を出したところで返って悪影響ではないのか?いくつになっても私たちの娘だ。助けたい気持ちはもちろんあるが…。」

「明日、私が玲奈さんに話します。どうかよろしくお願いします。」

俺はまた深く頭を下げた。

両親は顔を見合わせ頷いてくれた。
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