冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
翌日、母に連れられて父も面会時間が始まるなり病院を訪れていた。

俺は玲奈の両親にもお願いし、病院に来てもらった。

「ご挨拶が大変遅くなり申し訳をありませんでした。」
俺の両親は深々と頭を下げる。

玲奈のお父さんは、
「弓川さん。頭を上げてください。私たちもご挨拶がおそくなりました。浅田宏樹と申します。妻の美代子です。」

「弓川義之です。妻の知恵子です。」

「遠いところまでお越しいただいてありがとございました。」

「いえ、私どもが至らなくご両親には大変お世話になりました。昨日連絡を頂き、恥ずかしくも夫婦で涙して喜びました。響が私どもを恨んでいることも分かっていますが、まさか子供が産まれたことを直接教えてもらえるなんて…。浅田さんのお力添えがあったと聞きました。本当になんとお礼をお伝えすればいいのか…。」

「そんなことないです。みんなで慶介くんの出産を分かち合いましょうよ。」

「そう言っていただけてありがたいです。玲奈さん、すまなかった…。」

「お父さん、頭を上げてください。是非慶介を抱っこしてあげてください。昨日みんな抱っこしたのであとはお父さんですから…。」

俺は慶介を父さんの腕に預けた。
父さんは小さな慶介を抱きかかえ、目頭いっぱいに涙を浮かべていた。

「ありがとう…。ありがとう、生まれてきてくれて。」

その言葉を聞き、また俺まで潤んでしまった。
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