冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
翌日、私は午前中からセレクトショップにいた。

おしゃれなお店にピンと来ない私は米山さんに助けを求めた。

もちろん米山さんも知るわけがなく、米山さんのお姉さんが助けてくれることになった。

お姉さんは現役スタイリスト。
指定されたお店の前で待つ。
40代には見えないスタイルの良さに、よく似合うスタイリングをしている。
自信がないとこの服は着こなせないのでは、と思うようなデザインだがお姉さんにはよく似合う。

私がボーッと見ていると、
「あなたが玲奈さん?米山の姉、里美です。よろしくね。」

「よろしくお願いします。」

「さぁ、時間がないわ。急ぎましょう。」

「まだ大丈夫ですよ。夕方6時に約束してるんです。」

まだ午前中だから時間はたっぷりある。
私は服を選んでもらったら一度帰るつもりでいた。

すると里美さんは、
「何言ってるのよ。急がないとギリギリよ。」

「え??」

「選んだ後エステに行くわ。顔のむくみをとってもらうためにフェイスマッサージをしてもらうの。その後にヘアメイクもあるわ。お昼ご飯も食べることを考えると余裕はないわよ。」

「フェイスマッサージ?」

「もう!とにかく早くお店に入るわよ!」

お姉さんに連れられお店に入ると煌びやかな服が並ぶ。

値札を見ると1着10万を超えている。
何度数えても0が多い。

小さな声でお姉さんに「無理です」と伝えるがお姉さんは「いいのよ。これが普通の世界だから」と返してくる。

これが普通?!
度肝を抜くとはこういうことだろう。

「そう言えば結婚式の時のワンピースはどうだった?」

「薄いサーモンピンクのですか?」

「そうそう。私が選んだのよ。あなたのイメージを聞いて。それに式の後の幸せな感じをイメージしたのよ。」

「とても気に入りました。素敵な色合いだし、着心地がよかったので今日も着たかったくらいなんです。」

「あら、良かったわ。でも今日は落ち着いた色にしましょう。おじさまたちにウケの良さそうな色ね!」

「そうですね。TPOからするとピンクはなさそうですね。」

「よし、じゃあ紺にしましょう。でも春とは言え暑くなりつつあるからレースを使った軽い感じにしていきましょう。」

お姉さんは膝丈のワンピースを選んだ。
シフォンの軽い素材でふんわりしたスカート。トップスはレースがあしらわれており上品だ。

素敵…

靴や小物には白をチョイスする。

何着も試着を繰り返しようやく決めた服。
どれも素敵すぎて選びきれなかったが今回は紺が間違いないと思う。

そう思っているとお姉さんは
「さっき試着したもの全て購入で。お支払いはカードで。紺以外は全てマンションに届けて。」

「はい?!」

「さて、ひとまずランチに行きましょう。近くにあるパスタでいいかしら?」

スタスタと歩いて行ってしまうお姉さん。

私は慌てて追いかける。

お姉さんはオープンテラスのあるレストランに入る。

テラス席に案内されるが日焼けを気にして奥の方を指さす。

美意識高い…。
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