冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
「お姉さん、あんなに服を買えません。」

「いいのよ、響のお金だから。それにお姉さんはやめて。里美って呼んで。」

「響さんのお金だからこそ買えないんです。」

「御曹司に嫁いだのに倹約家なのね。その心がけ大事だわ。」

「私が稼いでるわけではないので…。響さんが頑張って働いてくれたのがお給料なんですから私が散財するわけにはいかないんです。」

「本当にいい子ね。響は幸せだわ。」

「里美さんは響さんのこともご存知なんですか?」

「えぇ。弟と響のお兄さんの誠(まこと)は友達だったからしょっちゅううちに来てたわ。そのうち響もついてくるようになったの。」

「そうなんですね。」

「響は誠にべったりだったわ。でもそれを邪険にせずよく連れ歩いてたわ。私にはとてもできないと思ったし、弟を連れ歩くのなんて無理だわ。だから本当に仲がいいんだと思って。」

「そうですね。私も弟は連れ歩かないですね。」

「あら、玲奈さんも弟が?」

「はい。まだ大学生なんです。」

「そっか。玲奈さん自身も若いんだもの。弟さんもまだ若いわね。」

「里美さんも若いですよ。」
 
「若くないわ。もう45よ。」

「えぇ!!!」

「若作りなの。」

「めちゃくちゃ若く見えます。」

「若作り成功ね。子供も高校生と中学生なのよ。」

「えぇ?!信じらんない。」

「嬉しいわぁ、その反応。うちの子たち若作りしすぎ、頑張りすぎとか言うんだもの。」

パスタが運ばれてきて、会話が途切れる。

「さぁ、1時半から次の予約よ。移動もあるから急ぎましょう。」

「はい。」

私はもう言われるがままに急いで食べた。
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