冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
ガチャ

部屋へ戻ると私はすぐ、
「響さん、お疲れ様です。お風呂沸かしてきますね。」
と声をかけた。

「ありがとう。」
と言い、響さんは部屋にスーツを脱ぎに行ってしまった。

私はお風呂のスイッチを押すとすでに洗ってあったバスタブにはあっという間にお湯が張られた。

コンコン

「響さん。お風呂どうぞ。」

「ありがとう。玲奈が先に入るといい。」

「まさか!どうぞ響さんから入ってください。お疲れなんですから。」

「君もだろう。遠慮しなくていいんだ。」

「いえ、響さんからどうぞ。私は後でいいんです。」

「今日は君を振り回した。だから先にどうぞ。」

「私が先に入るわけにはいきません。響さんどうぞ。」

「強情だなぁ。玲奈からでいいんだよ、遠慮しないで。」

「響さんこそ…」

「玲奈、俺たちは対等だ。ギブアンドテイクだ。俺は今日君のおかげでとても助かった。想像以上に…。だから君の借金を払ったことになんの不満もない。まさにギブアンドテイク。だから気にすることなんて何もないんだ。」

「ありがとうございます。」

「じゃ、お風呂お先にどうぞ。」

「いえ。響さんどうぞ。」

「強情だなぁ。」

「響さんこそ!」

「じゃ、ジャンケンにしよう。」

え?

「はい、ジャンケン…ポン」

反射的に私はグーを出した。

響さんはパー。

「はい、公正なルールで玲奈が先です。」

「うー…、では…先にいただきます。」

私は部屋に着替えを取りに行き、慌ててお風呂に向かった。

「玲奈、急いで出なくていいよ。ゆっくりね。すぐに出るならまた押し込むよ。」

私の考えなんてお見通しのようだ。

私は響さんの言葉に甘え、いつも通り入らせていただいた。

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