冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
「玲奈、美味しいな。サーモンとクリームチーズって最強だな。チキンも食べさせてあげたかったな。ごめん。」

響さんは凄い速さでスモークチキンを食べ終わってしまっていた。

「俺、仕事柄忙しくて合間に食べることが多いから早食いになっちゃったんだよ。スモークチキン美味しかったのになぁ…」

私に味見させてあげられなかったことを悔やむ響さんがちょっと可愛い。

「いいんですよ。今度味見させてくださいね。」

「もちろんだよ。もう1個食べていい?」

そこそこの大きさなのにもう1個食べれるの?

袋からまた探し始める。

「これいいかな?」

「もちろん。でも響さん、こんなスタイルいいのにたくさん食べれるんですね。月曜日からの食事作りが楽しみになります。」
 
「男はこんなもんじゃない?そこそこな量は食べれるよ。玲奈は何が得意なの?」

「得意と言われると…おこがましいですが基本的な和食はなんとなく作れます。なのであまり期待されると…。料理はお手伝いさんの方がよかったかも、です。」

「俺は毎日カレーとハンバーグでもいいけど。」

「そう言ってもらえたら安心します。毎日カレーですね!」

「本気にしないで…たまに魚とかお願いします。」

「フフフ…了解です。嫌いなものはありますか?」

「ないかな。でも極端に辛いものはダメかな。」

「わかりました。」

「ここの公園いいね。木陰だと涼しいし気持ちいい。」

「そうなんです。ぼーっとしちゃう。」

「俺ここ数ヶ月物凄く周囲が変わってさ。もともと兄が副社長になり、いずれは社長になるはずだったのに…俺が…なんでこんなことになったんだろう…」

だんだん会話が途切れていく。
私は何もいえずにいると、

「ごめんな、巻き込んで…米山から理由は聞いてるか?」

私は頷く。

「まさか自分が上に立つことになるなんて…でも両親からはいい顔をされない…でも…俺がやらないと親父の後は誰がやるんだって…俺だってやりたいわけじゃない。俺は…兄のためだから努力してきた。いい兄貴だったんだよ。」

膝に手をつき頭を下げる響さん。
泣いてはいないが、心は泣いているのだろう。
途切れ途切れの会話から響さんの苦しい胸の内が漏れ聞こえてくる。

助けてあげたい

私はそう思った。

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