冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
私がお風呂から出ると定番になりつつ響さんからのドリンクサービス。

今日はさっぱりとレモネードだった。

「ありがとうございます。」

「こちらこそ。俺こんなことくらいしか出来ないから…。」

「何もしなくていいんです。契約なんですから。」

あ…

響さんはその言葉に固まった。

「そ、そうだな。ま、でも契約とは言え一緒に住んでるんだからお互い気持ちよく過ごせたらいいよな。」

「そう言ってもらえて私は助かります。ありがとうございます。」

私は今日なんだか充実していたけどちょっと疲れ、早めに自室へ引き上げた。

スマホを見るとメールの着信が光っている。

メールを開くと千波からだった。

『玲奈、完璧な翻訳だって上司が褒めてた。このままお願いしたいって。打ち合わせの資料はその都度金額が変わるけど短編は1本2万からでどうか?と言ってるんだけどどう?ちなみに今日のは1万だって。』

え?あの10枚で1万?
高い…。
専門用語とか入ってるから高めの設定なのかしら。
お小遣いになるし、正直楽しかったからやりたいなと思う。

『やる!でも…予定が入ることもあるからすぐは無理って言わないといけないところも出てくるかもしれない。それでもいいかな?』

『もちろん。ダメな時はその時言ってくれたら他の人に回すこともできるし、物によっては待てるよ。短編はいきなり今日中ってことはほぼないから大丈夫じゃない?』

『千波ーーー。ありがとね。すごく楽しかったから嬉しい。』

『じゃ、今日の分の振込先教えてね。』

マズイ…
名前変わってるじゃん。

『現金支給でいいよ。そのうちまとめてご飯食べに行く時にでもくれたらいいよ。その方が嬉しいし。』

『え?現金支給?ま、いいけど。でも今忙しいから相当後になるかもよ。』

『構わないよ。今は退職金とかもあるから困ってないし。まとまった時にもらえたら嬉しい!』

『じゃ、また連絡するね!』

ふぅ〜なんとか乗り切った。
千波には悪いけどどこから漏れるか分からないから結婚のことは言えない。

ごめん、千波を信用してない訳じゃないの。
数少ない私の友達だもん。
でも1年の契約婚だなんて絶対理解されないよね?
1年したら元に戻るんだもん。心配させる必要ないよね。
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