冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
響さんは小声で、
「こんなところに1人できてたらみんなに襲われそうだろ。1人では来れないよ。いつもなら米山の鉄壁のガードを付けたり、仕方ない時は幼なじみに頼むんだ。今度紹介するよ。見た目はまぁまぁだがなにぶん性格は難ありだ。だから行き遅れている。」

「行き遅れてるだなんて失礼ですよ。」

「だから小声で話してるだろ。みんなに襲われそうだってことも小声にしてる。」

「響さんはイケメンなのでそりゃ独身なら皆さんハイエナのように群がるでしょう。でも私が妻だとなったら響さんの趣味嗜好を疑われるかもしれないですね。実際妻の座にいるので皆さん疑ってるところでしょうけど…。まさかこんなの連れてくるなんて、と皆さん思ってるんでしょうね。申し訳なさでいっぱいですけど。」

「玲奈は可愛いさ。内面から可愛さが染み出してくるよ。」

「……何を言うんですか!リップサービスにしても行き過ぎです。」
私は真っ赤になり俯いた。

そんな私たちの小声の会話を見ていた米山さんが声をかけてきた。

「副社長、玲奈さん。」

振り返ると米山さんが小声で話しかけてきた。

「玲奈さん、ご無沙汰してます。どうですか?生活は慣れましたか?早いもので3ヵ月目に入りますね。後9ヵ月です。お困りなことはないですか?見かけたところとても上手くいっているみたいですね。」

「どうでしょうか…それなりに、うまくいってるのかな、と思いますが。」

「そうだな。うまくいってはいると思うよ。一緒にいて窮屈ではない。」

「そーですね。」

「なんだか息が合いますね。副社長も玲奈さんといると自然ですね。」

「そりゃ毎日一緒にいるんだから自然だろう。」

「そーですね。」

そこへ鹿波(かなみ)社長がきた。
「弓川くん、元気か?ご結婚されたようで、おめでとう。」

「鹿波社長、ご無沙汰しております。ご紹介が遅くなり申し訳ありません。妻の玲奈です。」

「玲奈と申します。よろしくお願い致します。」

「玲奈さんか。モテる弓川くんを射止めたのは凄いな。」

「いえ。でも私にはもったいないような人です。」

「奥ゆかしいなぁ。いい子そうじゃないか。」

「はい。家庭を持ち、今後とも一層の努力をしたいと思います。よろしくお願い致します。」

「そうだな。家族がいる男は精神的に強くなるぞ。応援してるからな。」

「ありがとうございます。」
私も響さんも頭を下げた。

その後も付き合いのある社長からご挨拶が続いた。
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