冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
米山さんが私たちのテーブルまで戻ってきた。

「玲奈さん、なんだか響は本当に柔らかくなりましたね。表情が穏やかで昔に戻ったみたいだ
。君のおかげだよ。本当にありがとう。」

「そんな…私何もしてないんです。響さんにお世話になるばかりで。」

「いや、君だから響は昔の響に戻れたのかもしれない。兄貴が死んで色々なことがあり過ぎて響は滅入ってたんだ。親にも酷いことを言われてさ。でも普通に接してくれる君がいたから響も日常を取り戻しつつあるのかもしれない。このまま響のそばで見ていてやって。」

「私にできることならなんでも…」

「おーい、米山。何2人で話してるの?」
響さんがデザートを持って戻ってきた。

「内緒だよ、いいだろ。」

「なんだよ、それ。」

「ほらほら、玲奈さんデザート待ちしてたぞ。」

私はデザートを受け取ると食べ始める。

「響さん、私タルト系が大好きなんです。すごく美味しい。ありがとうございます。響さんも食べてみてください。甘さ控えめで美味しいですよ。」

「じゃ、一口。」

私の食べていたフォークで響さんはタルトを味見する。

「美味いな。」

「おい、それ玲奈さんのフォークだぞ!」
米山さんに突っ込まれるが特に気にしてなさそう。
私も意識してない素振りをするが、ドキドキしてしまった…。

今は夫婦役の最中…響さんも妻らしく扱っているのだろうから動揺してはダメ。

今は夫婦、と自分に言い聞かせた。
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