冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる～愛なき契約夫婦の艶美な一夜～

「本当に申し訳ありませんでした。助けていただいただけでなく、ご迷惑をおかけしてすみませんでした。」

「いや、いいんだ。俺こそ怒鳴って悪かった。」

「いえ。私がフラフラしてたのが悪いんです。」

「何かあったのか？」

「…」

「ま、ここでこうしてるのも何かの縁だ。話すだけで気楽になるさ。」

「…」

「ま、無理に聞き出さないよ。所詮他人だ。」

他人…
そう、他人の悠真に私は借金を背負わせられた。
結婚もしてないし、婚約もしてない。
何の約束もないただの他人。
きっと私の個人情報は半同棲の間に盗み見ることなんて容易かっただろう。
でも信用してたもの。
付き合ってるんだから…。
でも人って簡単に裏切るんだね。
悠真が仕事を辞めてることさえ私は気が付かなかった。
私はどれだけ鈍いんだか…。
悠真はどんな気持ちで私に借金を背負わせたの？
何にそのお金は使ったの？
どうして相談してくれなかったの？

頭の中をいろいろなことが駆け巡りまた涙が溢れてきた。

するとハンカチが差し出された。

受け取ることを躊躇っていると「汚くないから。使ってないから。」といい私の涙を拭いてくれた。

優しい…
ぶっきらぼうだが、道で助けただけの人間をここまで親切にしてくれるなんて…

人の温かみに触れ今日の私は涙もろくまた泣いてしまう。


「か、彼に裏切られてしまって…1000万の督促状がきて…彼いなくて…私が借金して…」

「うん？ごめん、よくわからない。」

「きょ、今日私に督促状が来たんです。身に覚えもないのに私の名前で届いて。」

「うん」
　
「消費者センターとかにも問い合わせたけど、私名義で私が借金してるのならどうにもならないって…私じゃない人が手続きした証拠もないし、そもそも私が手続きしたことになってるし。」

「うん」

「身内とかが勝手に手続きしたんじゃないかって言われて…。で、彼だったみたいで。」

「うん」

「彼の家はもうなくなってて、会社も夜逃げしてなくなってて。で、携帯も繋がらなくて、やっと来たメールはフリーメールからで、借金ごめんって。」

「はぁ？！なにそれ。」

「いつか返すから、ごめんって…。」

「いくらなの？」

「1000万近くの督促状でした。」

「1000万？！」

「はい…。私がそこそこ名前のある会社で働いてることもあり借りられたようなんです。」

「君が背負うの？」

「そうなるようです…」

「そんなバカな…」

「私だって信じられません。それで頭がいっぱいになってしまったんです。」

「あ、あぁ…。」