冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
よかった…たまたま今日は響さんが買ってくれた服着てるから大丈夫だわ。

化粧だけ直せたらよかったんだけど…。

でももう今更どうにもならない。

響さん、ごめんなさい…いつもよりもさらに平凡で。

会社に着くと響さんは私の腰を抱き、役員用エレベーターに乗り込む。

受付嬢や女性社員からの視線が私の胸にグサグサと刺さる。
ですよね…分かってますよ。
私が並んではいけないイケメンですものね。
皆さん1年の我慢ですよ。
1年したら横からいなくなりますからね。
自虐的になっていると響さんは私の耳元で話しかける。

「玲奈、ちょうど良かったよ。こうやってみんなの前で見せられてさ。」

「はぁ…。それは良かったです?私は痛いですけどね。」

「痛い?どこか痛いの?」

「気にしないでください。大丈夫ですから。」

「そう?美味しいもの食べて帰ろう。」

「いえ、結構です。私お腹すいてないので…。」

「え?そうなの?」

「すみません。」

あからさまに気落ちする響さん。
こんなイケメンをこんな顔にさせる私ってどれだけよ…。私がしていいことじゃなかったわ。

「ラーメン!ラーメンなら食べれます!」

「おっ!」

「そんなわけないですよね。響さんがラーメンなんてねぇ…。ごめんなさい。今から作ったら遅くなるし何か食べて帰ってきていただけませんか?本当にすみません。」

「ラーメンでいいじゃん。行こうよ!」

「庶民の食事ですよ。」

「アホだな。そんなこと知ってるよ。庶民だけのものじゃないよ。ラーメン最高だよ。」

私たちが小さな声でそんなことを話していると、目の前に米山さんがいた。
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