冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
いくつもの路地を曲がると目の前がひらけた。

なんだか失礼だがあまり綺麗とは言えず、ましてや副社長の響さんが入るには相応しいとは思えない…。私のような庶民のならまだしも、イケメンが入る店ではない。

米山さんを見ると笑っている。
「味は保証するから!」

私の思っていることがわかってしまったらしい…。

「私ならいいんですけど…響さんはちょっと…。」

「え?!俺だけ除け者なの?」

「いえ。でも…大丈夫ですか?」

「大丈夫に決まってるだろ。俺だってラーメン食べるよ。」

「そうですか…」

「さぁ、入りましょう。」
米山さんに促され、私たちは店内に入りカウンター席に座る。
見た目によらずかなりの座席があるにも関わらず意外にもほぼ満席。
やっと2席見つけると近くの人が席をずれてくれて3人で並んで座ることができた。

「豚骨醤油3つ」

勝手に注文を決めてしまう米山さん。

私は初めてのお店はハズレのないものを食べたいので異論はないが響さんは米山さんを睨んでいる。

豚骨醤油が美味しいって聞いたけど違うのが食べたかったのかしら…。

「おい、なんでお前が真ん中なんだ。」

「なんだっていいでしょう…いちいちうるさいやつだなぁ。」

「俺が真ん中に座る!」

「はぁ?子供じゃあるまいし、すぐ来ますから黙って座っててください。」

「うるさい!」
 
「あなたの方がうるさいです。恥ずかしいですよ。全く器が小さいですね。」

「……。」

何も言い返さず大人しくなる響さん。
こんな姿を見たのは初めて。

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