冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
そうこうしているとラーメンが目の前に置かれる。

いい香り…
白濁したスープを飲むと、息が止まる。
なにこれ!
今まで食べたことのある味と違う。
コクがあるのにあっさり、でもしっかり豚骨の味がする。
細麺との相性も抜群。
のっている紅生姜も着色されていない自然の色でとても優しい酸味がある。

私は喋ることも忘れひたすらラーメンをすすった。

ふと気がつくと2人も凄い勢いで麺をすすっていた。私より遥かに早いスピード。もう替え玉を頼んでいる。

呆気に取られている場合じゃない。
伸びる前に今、食べないと…。

私も慌ててまた食べ始めた。

あっという間に2人は替玉も食べ終わり、私も美味しくいただいた。 

「「「ごちそうさまでした!」」」

これで900円?
安すぎる。
替玉100円だから2人は1000円。
安すぎる…。

「米山さん!凄くおいしかったです。本当においしかった〜。ありがとうございました。穴場ですね!久しぶりにラーメン食べました。」

私は興奮気味に米山さんに話すと、米山さんも「そうだろう。あんなボロい店構えなのに美味いだろ。見た目に騙されたらダメだ。入ってみてあんなに美味いから見つけた時は毎日通ってたよ。けど年齢的な毎日ラーメンだと血液の数値が心配になってさ。だから最近はたまににしてるんだよ。」

「あんなにおいしかったら毎日行きたくなりますね。私も毎日通いたいですもん。」

「美味いよな〜なんであんなにあっさりしてるのか分からないんだよな〜。それにあの値段ってさ…倍以上の価値があるのにあの店主気がついてないんだよな。」

「900円はないですね〜。安過ぎですね。私としてはありがたいですけど。」

「それもそうだな。店主に言うのはやめよう。」

「ふふふ、そうですね。ありがたく900円でいただきましょ。」

2人で話しながら歩いて駅に向かう。

米山さんって案外庶民派。
そりゃそっか。
一般家庭の人だもんね。
御曹司とかじゃなくて秘書だもんね。
サバサバしてるから思ったことをすぐ口に出しそう。
でも悪気はないからこういう人ってみんなに嫌われないんだろうなぁ。
口の悪いお兄さん的存在かな。

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