遅咲きの恋の花は深い愛に溺れる
「……というわけで、皆さんの業務内容を知りたいので簡単なアンケートをメールしました。それを元に面談を行いたいと思いますのでご協力ください」

(ん?アンケート?面談?)

ぼーっとしていたため挨拶はさっぱり聞いていなかったが、最後の言葉だけ耳に入り和花は目をぱちくりさせた。

挨拶が終わり席に戻ってメールを確認すると、差出人:佐伯秀人から「アンケートにご協力ください」というメールが届いていた。中を開けてみると簡単な職歴と業務内容に加え、趣味と伝えておきたい事という項目がある。

「伝えておきたいこと……かあ」

和花は悩む。

面談ということは会議室か打ち合わせスペースで秀人と二人きりになる可能性が高い。元チーム長の林部には遠回しながらにも“誰かと二人きりになることが苦手”だと伝えてあった。そのため林部は和花を会議室に入れるような仕事は極力避けてくれており、そのおかげで和花はストレスなく仕事をすることができていた。とてもありがたい気遣いである。

佐伯にもこのことを伝えておくべきなのかもしれない。そうしないとまた過呼吸になって迷惑をかけてしまうかもしれないからだ。

和花は“伝えておきたいこと”の欄に、“誰かと二人きりになることは苦手です”と記入した。
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