遅咲きの恋の花は深い愛に溺れる
「和花ちゃん誘ったは良いけど楽しんでくれなかったら悲しいでしょ。私の友達だと歳も離れてるし」

「まあ確かにそうかもだけど、それにしても何で俺?」

「チーム長なんだから、責任持って連れてきて」

手を腰に当て、さも当然かのように言い切るなぎさ。

「……チーム長は関係ないだろ」

「何?嫌なの?」

「そんなことは言ってない」

はっきり嫌とは言えないでいると、注文用紙を抱えた和花が戻ってくる。

「なぎささん、お待たせしました」

「ありがとう和花ちゃん。あのさ、今度の結婚パーティーさ、佐伯くんと来てよ」

「えっ?!」

「佐伯くんがどうしても和花ちゃんと行きたいって。」

『ええっ?!』

和花と秀人、二人声がハモる。
そして顔を見合わせた。

「じゃあ二人ともよろしくね。和花ちゃん注文用紙ありがとー助かった!じゃあまた!」

二人の返事など聞く気のないなぎさは、言うだけ言うと嵐のように去っていく。
二人は何も言えず呆然となぎさの後ろ姿を見送った。

「あ、あの……」

和花が困った顔をして秀人を見る。どうしたらいいかわからないといった様子だ。
秀人はため息をつきたい気持ちを抑え、かといってため息をつきたいのはなぎさに対してであって、何の罪もない和花には同情の気持ちが芽生えている訳だが……。

「富田さんがチーム長として橘さんを連れてこいって」

「あっ、そういうことですか。すみません、ご迷惑をおかけして」

「あ、いや、そんなんじゃなくて……えっと、迷惑じゃなければ一緒に行きませんか?」

「お、お願いします」

秀人からの誘いが嬉しくないわけがない。和花は知らず知らずのうちに顔が赤くなっていた。
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