遅咲きの恋の花は深い愛に溺れる
***

なぎさの結婚パーティーは、ホテルの二十五階で行われる。改めて招待状の案内を読んだ瞬間、秀人はなるほどと納得した。

(エレベーターで二十五階まで男性と一緒に乗るのはさぞかしプレッシャーだろうな。……いや、だったら僕は?)

と再びの疑問がわき上がる。

まさか二十五階まで階段で行くのだろうかと考えていると、待ち合わせの場所に和花がやってくるのが見えた。

紺色の落ち着いたパーティードレスにいつも下ろしている髪をアップにまとめていて、普段よりも大人びて見える。

むしろ普段は童顔なため年齢よりも幼く見える和花だ。あまりの綺麗さに秀人は言葉が出なかった。

「Hi」

秀人を探していた和花は前から来た外国人に声をかけられビクッとしながら足を止めた。
身振り手振りで何かを伝えてくるのだが、全くといっていいほど英語が聞き取れない。

「え、えっと……」

しどろもどろになる和花は何とかラウンジという単語が聞き取れた気がして、そうだホテルのフロントを案内しようと試みた。

「あの、こちらにフロントがありますので……」

頑張って和花も身振り手振りで伝えようとするも、伝わっているのかどうなのかさっぱりわからない。

すると突然肩を引き寄せられ、きゃっと小さな悲鳴が出た。

(な、何?一緒にフロントに行ってほしいのかしら?どうしよう?)

一部始終を見ていた秀人は不機嫌に英語で割り込む。
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