遅咲きの恋の花は深い愛に溺れる
司会がマイクを取り、お色直しした新郎新婦が再び入場してくる。入口にスポットライトが当たり、わあっと歓声があがった。

「……なぎささん、綺麗」

和花の呟きに秀人も頷く。
仕事中の明るく騒がしいなぎさも綺麗だと思っていたが、やはり今日は特別感がある。
そのまま余興が始まり、先程の二人の会話はどこかに忘れ去られてしまった。

食事もそこそこに、ビンゴカードが配られ唐突に始まるビンゴゲーム。豪華景品が用意されているということで、和花と秀人も真剣にビンゴカードと向き合う。

「え、ビンゴだ」

「えっ、本当?橘さん、すごい」

「わわ、びっくりしました。そんなことってあるんですか?」

「日頃の行いがいいんだよ。ほら、景品もらっておいで」

秀人はそっと和花を促す。和花は席を立ちつつ、秀人が柔らかく笑うところを初めて見た気がして知らず知らずのうちにドキドキと鼓動が早くなっていた。

(今日の佐伯さんは何だかかっこいい……)

そんな気持ちが芽生え、そのことにも自分自身動揺してしまうようだった。

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