遅咲きの恋の花は深い愛に溺れる
一通り場の収拾をしてから、和花と秀人は人気の少ないラウンジの休憩スペースに移動した。

静かな空間は、自動販売機から缶コーヒーが落ちるガッコンという音をやけに大きく響かせる。

秀人は二人分購入すると、和花の前にコトリと置く。和花はそれを素直に受け取った。

「取り乱してすみませんでした」

「いえ、こちらこそ泣かせてしまって」

バツが悪そうに秀人が謝ると和花は首を横に振る。

「佐伯さんのせいじゃありません。私が弱いから……」

「……何があったか聞かせてもらえますか?」

決して無理強いはしない秀人の聞き方は優しすぎて和花の胸を締めつける。話すと迷惑にならないだろうかと危惧しつつも、秀人になら聞いてほしいような気もして和花は静かに口を開いた。

それは秀人に助けてもらったあの日に遡る。
何がきっかけかはわからない。あの日から、事あるごとにHOKUTOシステムの三井は和花にアプローチをしていること。それを迷惑だと思っていること。

時折言葉を選びながら、和花は自分の気持ちを秀人に伝えた。

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